ネーチャーネットは少年たちの冒険地図

文・写真/貫戸洋記(かんどひろき)

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 初めて5万分の1の地図を手にしたとき、旅とか冒険への夢にかきたてられた。たかが数10メートルの範囲でしかないのに、小学校4年生には未知の世界であった。

 今まで行ったことがある場所探しに夢中になった。歩いていった場所を色鉛筆で辿る。次に自転車を走らせた道を塗った。色鉛筆のあとでいっぱいになった地図を見て得意だった。わが偉大な足跡は半径10キロ内にあった。後に世界を駆け回る出発点になろうとはそのとき気づくべくもなかった。

 興味はもっぱら近くの歩いていける範囲にとどまっていた。時間があればどこかに出掛けていた。動き回るのが好きだったのである。というよりじっと静かに落ち着いていることが苦手だったのだ。

 広い道を曲がると裏通りに出る。さらに坂を上っていくと、畑が広がっている。地図の道は点線でしかなく、さらに湖に下るところで切れ切れになって消えている。

 点線の道は少年の夢を広げる。鳥の巣のあるところだ。魚が群れる小川が流れている。秘密の隠れ家、ターザンごっこに格好のツルがぶら下がっている森。カブトムシを探して回った木の根方。点線でしか表されない小道を行けば、必ず自然と出会うことができる。いわばネーチャーネットだ。ネーチャーネットは少年たちの冒険地図だ。

…つづく


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