聖地の道

イスラエルをゆく

歴史と浪漫が融けあう異国の街イスラエルを旅する

池谷 豁

死海

 死海が、銀色の箔を薄く貼り付けたように鈍い青をたたえている。

  あの時の死海だ。子供のころ、本を読みながら死海に浮かぶ写真を見て「いつかぼくも」とその時から心に決めていた。憧れの浮遊体験。やや冷たそうな死海に飛び込んだ。草むらに寝転がるようにひっくり返ると、波のまにまに体がぽっかりと浮かんだ。これでは死海で死ぬ人などいないだろう。

 漂いながら浮き雲の切れ端一つない真っ青な空を仰いでいた。海抜マイナス四〇〇m、死海は地球で一番低いところだ。今、私は地球の底に浮いている。 

 対岸のヨルダンの山がすぐそばに見える。波をちゃぷちゃぷかきわけて泳いで行けそうだ。いざ泳ごうとしたら体のバランスがくずれてひっくり返ってしまった。カヌーを立て直す要領で体勢を一回転させようにも、思うに任せない。そうしているうちに死海の水が口に入ってきて、そのしょっぱいのなんの。おまけに苦い。何しろ通常の一〇倍の濃度なのだ。世界のどこにもない不思議な光景が広がっていた。

ガラリヤ 

エルサレム

―――と、続きます。

池谷 豁  Hiroshi Ikeya/

中学の社会科教師をしていた。世界文化遺産の旅を目指して早期退職。企画編集のかたわら世界各地に足を運んでいる。 三遠南信ひとネットワーク「ゆめまる」会員


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